2000 年 61 巻 12 号 p. 3382-3384
症例は45歳,女性.発熱,腹痛を主訴に近医から急性虫垂炎疑いにて当科へ紹介された.来院時,両側下腹部中心に筋性防御とBlumberg signを認め,血液生化学検査で著明な白血球数の増多とCRP値の上昇,腎機能障害を認めた.原因ははっきりしなかったが,急性腹膜炎の診断で虫垂切除と腹腔ドレナージ術を施行した.術後経過は良好であった.術後に血清学的にクラミジア抗体が陽性であり腹膜炎の原因はクラミジア感染によるものであると判明した.クラミジア感染症は現在増加傾向にある.成人女性で原因不明の腹膜炎の際に本疾患も考慮すべきであると考えられた.