日本臨床外科学会雑誌
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嚢胞性縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下手術
坂本 和裕加瀬 昌弘孟 真蔵田 英志冨山 泉佐藤 秀之
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2000 年 61 巻 3 号 p. 605-608

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抄録

1994年8月から1999年3月までに当院にて胸腔鏡下手術を行った嚢胞性縦隔腫瘍10例について検討を行った.年齢は16~70歳(平均43.8歳),男性5例,女性5例,最大腫瘍径は2~9cm (平均5.3cm)であった.診断は胸腺嚢胞3例,心膜嚢胞3例,気管支嚢胞2例,食道嚢胞1例,嚢腫状奇形腫1例であった.気管支嚢胞2例,嚢腫状奇形腫1例の計3例で術中に嚢胞の破裂を起こした.術後合併症は肺炎1例,創感染1例で,いずれも嚢胞破裂を起こした症例であった.術後ドレーン留置期間は1~7日(平均2.6日),破裂を起こした1例で浸出液が多く7日間留置した.術後在院日数6~14日(平均9.8日)であった.嚢胞性縦隔腫瘍は胸腔鏡下手術のよい適応であるが,現時点では気管支嚢胞,食道嚢胞,嚢腫状奇形腫を疑った場合は周囲組織との癒着の可能性,嚢胞破裂の危険性を踏まえた上で,状況に応じて小開胸を併用するのが安全である.

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