日本臨床外科学会雑誌
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食道表在癌を合併したPryce I型肺分画症の1例
堂脇 昌一幕内 博康千野 修島田 英雄亀谷 武彦津久井 優大谷 泰雄田島 知郎斉藤 拓郎
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キーワード: 肺分画症, Pryce I型, 食道癌
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2000 年 61 巻 3 号 p. 648-652

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抄録

Pryce I型肺分画症の1例を経験したので報告する.症例は76歳男性,嚥下時痛を主訴に来院.精査にて胸部中部食道0-IIa+IIc+IIb型深達度sm1の表層拡大型食道癌と診断した.術前の胸部X線,胸部CTにおいて下縦隔左側に石灰化を伴う腫瘤が認められたが,肺結核の既往もありリンパ節腫大と診断した.高齢であり,活動性も悪いため非開胸食道抜去術を施行した.術中に石灰化リンパ節と思われた腫瘤より動脈性出血をきたし,異常血管と判断して同部を縫合止血した.術後の血管造影,換気Scan, 3D CTでPryce I型肺分画症の診断を得た. Pryce I型肺分画症は稀な疾患であり本邦報告例は32例にすぎない.本症例は76歳まで無症状で経過しているという点と食道表在癌を合併し術中の縦隔操作中に発見された点で興味深い1例と考えられた.

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