62 巻 (2001) 1 号 p. 117-120
粘膜下層での静脈侵襲のため,粘膜下腫瘍様の形態を示した早期胃癌を経験したので報告する.症例は68歳男性.検診で胃の異常を指摘され,近医で胃X線検査を受けた.胃体中部後壁に,中心に点状のバリウムが貯留し,周囲が隆起した大きさ約1.5cmの病変を認めた.内視鏡検査で隆起部の粘膜は保たれており,中心の陥凹部に顆粒状の変化を認めた.生検はGroup IIIであった.早期胃癌の疑いで胃体部分節切除術を施行した.腫瘍はなだらかに隆起し,陥凹部分は隆起粘膜の一部のみで全体的に粘膜下腫瘍様の形態を呈していた.病理検査でpor1, pT1 (SM), med, INFα, ly0, v3, pN0であった.隆起の原因は癌の粘膜下層での静脈侵襲によるものであった.術後経過は良好で, 10カ月の現在無再発生存中である.