日本臨床外科学会雑誌
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膵頭十二指腸切除術後膵液瘻による大量動脈出血の1救命例
浜崎 安純稲沢 慶太郎中村 隆森谷 敏幸
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2001 年 62 巻 3 号 p. 795-799

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抄録

膵頭十二指腸切除術(PD)後の膵腸吻合縫合不全はもっとも重篤な合併症である.今回われわれはPD術後膵液瘻による大量動脈出血をきたした症例を救命しえたので報告する.
症例は62歳男性,中部胆管癌に対しPD (今永法)を施行し,術後第31病日に大量の吐下血を呈した.膵腸吻合縫合不全で膵液瘻をきたし固有肝動脈-空腸瘻を形成していた.これを止血,残胃空腸吻合,尾側膵空腸吻合にて再建した.術後膵頭側断端からの膵液瘻が遷延したが,体外にドレナージして膵管皮膚瘻とし,蛋白分解酵素阻害剤によるドレーン持続吸引洗浄,ソマトスタチンアナログ投与,高カロリー輸液管理を併用し,これを治癒せしめた.術後残存膵機能は問題なく,尾側膵空腸吻合は本例のごとく他に再建の余地がない場合,試みられるべき方法と考えられた.

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