日本臨床外科学会雑誌
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絞扼性イレウスを発症したS 状結腸間膜内ヘルニアの1例
奥谷 大介枝園 忠彦宗 淳一宇高 徹総
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2001 年 62 巻 3 号 p. 817-820

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抄録

症例は80歳男性.腹痛,嘔吐を主訴に来院した.受診時,腹部全体に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状はなかった. 腹部X線. CTにてニボー. 腹水を認め. イレウスの診断で入院となり,イレウス管留置による保存的治療を行うも症状の改善を認めず,発症後4日目に手術を施行した.開腹するとS状結腸間膜右葉に10cmの異常裂孔を開口部とするヘルニア嚢を認めた.そのヘルニア内容物はTreitz靱帯より10cmの部位より160cmの小腸であり,それにつづく紅門側の小脇が捻転し壌死に陥っていた.壊死腸管は70cmであり壊死腸管を含む126cmの小腸切除と裂孔部の閉鎖を行い手術を終了した. 術後22日目に退院となった.
S状結腸間膜内ヘルニアは本例が本邦において13例目であった.腹部外傷や開腹手術の既往歴がなくイレウスで発症した症例では内ヘルニアによる絞扼牲イレウスを念頭におき,早期診断と治療を考慮すべきである.

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