日本臨床外科学会雑誌
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腹部消化器外科疾患を合併した腹部大動脈瘤手術症例の経験
山本 尚人海野 直樹三岡 博内山 隆斉藤 孝晶中村 利夫鈴木 昌八今野 弘之中村 達金子 寛
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2001 年 62 巻 5 号 p. 1136-1140

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抄録

腹部消化器外科疾患を合併した腹部大動脈瘤(AAA)手術症例17例を検討した.平均年齢は68.6歳,全例男性であった.腹部消化器外科疾患の内訳は胆石症・総胆管結石症6例,胃癌7例,大腸癌3例,肝臓癌2例,膵臓癌1例であった.胆石症・総胆管結石症の6例,胃癌の2例,大腸癌の1例,肝臓癌後膜転移の1例にAAAとの同時手術を施行した.胃癌の3例,大腸癌の1例,膵臓癌の1例にAAA手術を先行した二期的手術を施行した.胃癌の2例に消化器疾患手術を先行した二期的手術を行った.肝臓癌の2例に経カテーテル的動脈塞栓術を,大腸癌の1例に内視鏡的粘膜切除術を行った.人工血管感染の合併は認めなかったが,周術期死亡を1例に認めた.腹部消化器外科疾患とAAAが同時期に発見された場合,それぞれの疾患の進行度や患者の状態を十分考慮して治療方針を決定する必要がある.

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