日本臨床外科学会雑誌
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食道腺様嚢胞癌の1例
尾形 徹川本 純山東 敬弘藤本 三喜夫中井 志郎増田 哲彦
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2001 年 62 巻 5 号 p. 1162-1166

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抄録

稀な食道腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.症例は71歳男性.主訴は食事時胸痛.上部消化管内視鏡検査にて上門歯列より37cmの食道前壁に径1cmの隆起性病変を認めた.生検診断にて扁平上皮癌と診断されたため胸部食道亜全摘術を施行した.病理組織診断は腺様嚢胞癌(sm, n0, stage 0)であった.術後41カ月現在外来で経過観察中であるが再発の兆候はない.腺様嚢胞癌は粘膜下層に主座を置き正常粘膜に覆われていることが多いため術前診断が困難であるうえ,手術以外有効な治療法もなく一般に予後は不良である.しかし早期手術例で長期生存例があり,それゆえ稀な疾患ではあるが食道腫瘍の診断に際して常に念頭に置くべき疾患と考えられる.

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