症例は73歳,男性.右季肋部痛で発症し肝右葉に腫瘤を指摘された.画像所見上,肝前区域に表面に癌臍様の陥凹を伴う最大径8cmの腫瘤を認め, dynamic CT,血管造影の所見から, combined typeの胆管細胞癌と診断した.切除標本の組織所見では低分化と高分化の混在する肝細胞癌と診断されたが,腫瘍内にpeliosis hepatisに類似した大小多数の血液腔(peliotic change)を認め,その内腔は大部分が器質化していた.通常,肝細胞癌に内包されるpeliotic changeはdynamic CT,血管造影で持続する濃染像を示すとされるが,本症例ではpeliotic change内の血液の器質化により造影効果を示さず,術前診断を困難にしたものと考えられた.