日本臨床外科学会雑誌
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結節浸潤型胆嚢癌との鑑別が困難であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例
藤井 正彦三宅 秀則佐々木 克哉安藤 勤松村 敏信田代 征記八木 恵子
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2001 年 62 巻 5 号 p. 1274-1279

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抄録

症例は74歳の男性.主訴は心窩部痛.超音波検査で胆嚢底部の隆起性病変と胆石を認めた.腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定し手術を施行したが,腹腔鏡所見で胆嚢癌が疑われたため胆摘は行わず,二期的手術の方針とした.腹部CT, MRIで胆嚢壁の肥厚と内腔に突出する隆起性病変を認め,結節浸潤型胆嚢癌の診断で胆嚢摘出術, S4a, S5区域切除術,肝外胆管切除術,リンパ節郭清(D2)を施行した.摘出標本では底部の胆嚢壁は肥厚し,結石が強固に胆嚢壁に固着していた.病理組織学的所見では黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)を認め,結石と胆嚢壁は潰瘍の壊死組織や肉芽組織を介して連続していた.当科で経験したXGC 3例を含めた検討では,全例が術前に胆嚢癌と診断され,拡大手術が施行されていた.本症は画像上胆嚢癌との鑑別が困難であり,両者の合併例の報告もあることから,胆嚢癌を疑った場合には本症を念頭に置いて,慎重に術式を選択する必要があると考えられた.

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