62 巻 (2001) 5 号 p. 1290-1294
糖尿病を合併した直腸癌術後骨盤内膿瘍から発症したFournier's gangreneの1例を経験したので報告する.症例は50歳,男性でRbを主座とする進行直腸癌の診断で腹会陰式直腸切断術を施行した.術後仙骨前面に膿瘍を形成し,約2カ月後に臀部から右大腿,躯幹に及ぶ発赤,腫脹が出現した. CTにて軟部組織に異常ガス像を認めたため広範囲に切開, debridementを行ったが術後に敗血症から多臓器不全に陥り,救命できなかった.
直腸癌にFournier's gangreneを合併した例は検索しえた限り本邦で5例目であった.本症は重篤な経過を辿ることがあるため,躯幹に及ぶ以前に診断して早期に切開,排膿と壊死物質の除去,洗浄を行うと同時に,原疾患の治療および血糖を含めた適切な全身管理を行うことが肝要であると思われた.