日本臨床外科学会雑誌
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完全摘出しえた後腹膜静脈性血管腫の1例
道清 勉吉川 澄藤井 眞川野 潔
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2001 年 62 巻 5 号 p. 1300-1304

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抄録

後腹膜の静脈性血管腫の1例を経験したので報告する.症例は37歳,女性.主訴は左側腹部痛. CTにて膵背側に多房性の嚢状腫瘤を認めた. MRIでは, T1, T2いずれの強調画像でも高信号であり,血液の混入した嚢状腫瘤が疑われた.血管造影では腫瘍濃染を認めず,副腎原発の腫瘍は否定的であった.開腹すると腫瘤が左副腎および腹部大動脈左縁に極めて強固に浸潤性に癒着していた.左副腎を一部合併切除して腫瘤を完全に摘出し得た.摘出標本で腫瘤は650g, 21×10×8cm,内部は多房性,褐色の混濁した内容液350mlを含有していた.病理組織学的には静脈性血管腫であった.

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