2001 年 62 巻 5 号 p. 1310-1314
Hirschsprung病に合併した閉塞性鼠径ヘルニアの小児例を報告する.先天性魚鱗癬を伴った未熟児の男児が紹介された.生後4日目から腹満が続きHirschsprung病と診断した.生後20日,両側鼠径ヘルニアを認めた. 9カ月時,重篤な便秘と両側陰嚢の腫脹を認め再入院した.注腸透視にて左側陰嚢内に極めて硬い糞塊を含んだS状結腸が存在していることが判明した.硬い糞塊を含んだS状結腸の整復を試みたが糞塊が硬く疼痛を訴えできなかった.緊急鼠径ヘルニア手術時, S状結腸内の硬い糞塊は小さい糞塊に分割して連続する腹腔内の結腸に整復した.最終的に閉塞性ヘルニアと診断した.術後経過は異常なかった. 22カ月時, Duhamel変法にてHirschsprung病の根治術を施行した. 29カ月時,原因不明で自宅で死亡した.剖検はできなかった.