62 巻 (2001) 6 号 p. 1541-1545
発症10年経過し,腹部全体をしめる腫瘤増大を認め,開腹手術に至った腹膜外巨大線維脂肪腫を経験した.症例は69歳,男性. 10年前に左下腹部に母指頭大の腫瘤を触知したが,痛みなく放置していた.腫瘤は徐々に増大し,今年に入り,腹部全体を占拠するようになり,腹部膨隆を主訴に来院した.腹部単純CT上,腹部全体に,隔壁を伴うlow densityの腫瘍が存在し,一部cysticな部分も伴っており,腸管は外側に圧排されていた.腹部MRIでは, T1強調像で高信号であり,腹腔内脂肪肉腫の診断のもと,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は恥骨結合付近を起始部とし,腹膜外に存在した.背側は膀胱を広範囲に圧排して癒着していた.重さ29.5kg,被膜を有し表面平滑,弾性軟.割面は黄色で分葉状であった.病理組織学的には悪性所見は認めず,線維脂肪腫であった.