日本臨床外科学会雑誌
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MRI検査が有用であった子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの1例
石川 泰京極 高久高峰 義和林 雅造
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2002 年 63 巻 10 号 p. 2543-2546

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抄録

稀な子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの1例を経験し, MRI検査にて貴重な所見を認めた.症例は51歳,女性.主訴は上腹部痛,開腹歴なし.夜間睡眠中突然上腹部痛と嘔吐が出現し本院を受診.腹部は平坦軟で,腹部単純写真,超音波・CT検査ではイレウス像は認めず, MRI検査にて子宮が右側へ偏位し,子宮の左側にうっ血した血管を伴う小腸腸間膜と索状影を認め,子宮広間膜ヘルニアまたはS状結腸間膜ヘルニアなどの骨盤腔内の内ヘルニアを疑った.イレウスの所見に乏しく保存的に加療したところ,翌日になっても腹痛は軽減せず,画像診断にてイレウス像が出現, CT検査では子宮左側に索状構造と肥厚した腸係蹄を認めた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を行った.開腹にて,左子宮広間膜に直径3cmの裂孔を認め,そこに回腸末端から1mの部位の小腸が約10cm嵌頓していた.嵌頓を整復し,異常裂孔を縫合閉鎖した.

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