日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
イレウスを起こした結核性腹膜炎の1例
高木 眞人佐藤 茂樹蓮江 健一郎久保内 健生片場 嘉明小柳 泰久
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 63 巻 10 号 p. 2552-2557

詳細
抄録

症例は33歳,男性.腹痛,下痢,吃逆および腹部膨満にて受診した.体温37.9°C, 腹部は著明に膨満しているものの,腹膜刺激症状は認められず,腹部単純レントゲン,腹部CTにてイレウスと診断した.イレウスチューブを挿入し,保存的に経過をみるもイレウス症状は改善せず,手術を施行した.腹膜,胃,小腸漿膜,大網には黄白色の播種状粟粒結節があり,癌の腹膜播種を疑うも術中細胞診にて癌細胞は認めず,多数の類上皮性細胞を認めた.術中下部消化管内視鏡では盲腸びらんと終末回腸の全周性潰瘍を認め,回盲部原発の活動性腸結核,結核性腹膜炎による腸閉塞と術中診断した.強度の癒着のため剥離,腸切除は行わず手術終了とした.粟粒結節は乾酪壊死を伴った類上皮性肉芽腫であり結核症と確定診断された. RFPとINHの経管投与およびSM筋注による結核治療にて症状は著明に改善し, 6カ月の治療終了後も再発の徴候はない.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top