日本臨床外科学会雑誌
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慢性透析患者に発生した孤立性総腸骨動脈瘤破裂による動静脈瘻の1例
小林 克巳濱田 芳郎石川 進大滝 章男坂田 一宏森下 靖雄
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2002 年 63 巻 12 号 p. 2904-2907

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抄録

動静脈瘻を形成した孤立性総腸骨動脈瘤の手術症例を経験した.71歳の慢性透析患者で,術前に心不全症状を自覚していなかった.大動脈から左総腸骨動脈には,血腫の器質化したような堅い組織を認め,瘤は右総腸骨動脈に限局していた.瘤の切開後,約13×8mm大の動静脈瘻を直接縫合閉鎖し,瘤の中枢と末梢側の動脈は縫合閉鎖した.下肢血行再建には8mmの人工血管を用いて腹部大動脈と右外腸骨動脈間にバイパスを作製した.大動脈周囲に器質化した血腫が認められた事から,動静脈瘻は破裂した総腸骨動脈瘤が静脈壁に穿通して形成されたと考えられた.慢性透析により水分コントロールが厳重に為されていたために,心不全症状はなかった.総腸骨動脈瘤の破裂により動静脈瘻をきたした症例は稀であること,慢性透析患者であったため,水分管理が厳重に為され心不全症状が出にくい特殊な症例と考え,報告した.

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