日本臨床外科学会雑誌
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Granulocyte-colony stimulating factor産生有茎性食道癌肉腫の1例
柴崎 弘之平井 一郎川口 清森谷 敏幸神賀 正博木村 理
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キーワード: 食道癌肉腫
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2002 年 63 巻 12 号 p. 2920-2925

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抄録

食道悪性腫瘍のうち食道癌肉腫の頻度は稀である.最近granulocyte-colony stimulating factor (G-CSF)産生腫瘍が注目されている.白血球,血清G-CSF値の増加を伴った胃上部の腫瘍を切除し,切除標本で有茎性の食道癌肉腫であった1例を経験した.食道癌肉腫, G-CSF産生腫瘍を文献的考察を加え,報告する.
症例は79歳,男性.主訴は嚥下時つかえ感で,胃上部のI型腫瘍で紹介となった.白血球数28,810/μl, CRP 20.1mg/dl,血清G-CSF値は231pg/mlと上昇していた.
G-CSF産生胃癌の術前診断で胃全摘術を行った.切除標本は6×4.5cmの有茎性腫瘍で,胃食道接合部の食道粘膜から発生していた.病理検査では上皮癌と紡錘型の間葉型肉腫の成分があり食道癌肉腫と診断した. G-CSF抗体免疫染色では扁平上皮細胞,紡錘型の両方の細胞質が陽性であった.術後G-CSF,白血球数, CRP値は正常化した.
発熱などの炎症所見がなく,白血球数が異常高値を問葉系腫瘍ではG-CSF産生腫瘍を,また胃食道接合部の有茎性の腫瘍では,食道癌肉腫を疑う必要がある.

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