日本臨床外科学会雑誌
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中毒性巨大結腸症を合併し,術後に多臓器障害に陥った高齢者潰瘍性大腸炎の1救命例
今村 幹雄高橋 通規
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2002 年 63 巻 12 号 p. 2993-2998

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抄録

症例は70歳,女性.初回発作型,全大腸炎型,重症の潰瘍性大腸炎症例である.血性下痢で発症し,ステロイド強力静注療法を施行したが,改善せず,中毒性巨大結腸症を呈し緊急手術(結腸全摘兼回腸人工肛門および直腸粘液瘻造設)を施行した.術後,汎発性血管内血液凝固症(DIC),成人呼吸窮迫症候群(ARDS),急性出血性胃粘膜病変(AGML)および肝障害からなる多臓器障害に陥ったが,気管切開による呼吸管理などの集中治療により救命しえた.切除標本では横行結腸からS状結腸にかけ広範に粘膜が脱落し,残存粘膜は島状に散在し,縦走配列を示した.病理組織所見ではcrypt abscess, goblet cellの消失,著明な炎症性細胞浸潤に加え,粘膜脱落部には巨大な菌塊が多数付着していた.高齢発症でステロイド強力静注療法が奏効しない潰瘍性大腸炎症例では早期に手術に踏み切ることが救命につながると考えられた.

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