日本臨床外科学会雑誌
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結腸問膜穿通を合併したS状結腸癌の1例
菊辻 徹豊田 剛
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2002 年 63 巻 12 号 p. 3004-3007

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抄録

症例は79歳の男性. 5日前からの腹痛が上腹部の激痛となり来院.腹水およびfree airはなかったが,腹膜刺激症状を認め,急性腹膜炎の診断で緊急手術を施行.開腹にてS状結腸の腫瘤と口側の腸間膜内に糞便腫瘤を認め, S状結腸癌と結腸間膜穿通の合併と考えた.汚染・損傷した腸間膜を含めてS状結腸を切除しHartmann手術を施行した.病理学的に腫瘤はほぼ全周性の2型高分化腺癌ss, 1y0, v0, n0で,その5cm口側の腸間膜側に,乏血による広範な粘膜の菲薄化と萎縮消失を伴う穿孔を認め,腸間膜内に多量の糞便貯留を認めた.以上からS状結腸癌による狭窄に伴うS状結腸間膜穿通と診断した.結腸間膜穿通の報告は23例ときわめて少なく,結腸癌に合併したものは自験例を含めて3例のみである.大腸穿孔は予後不良とされるが,本症は糞便性腹膜炎を併発しにくく,早期に適切な治療が行われれば予後良好と考えられた.

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