日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸直接浸潤をきたした腸問膜リンパ節結核の1例
楠田 慎一平野 忠八尋 正文高地 俊郎黒川 喜勝伊藤 英明
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2002 年 63 巻 12 号 p. 3057-3061

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抄録

症例は28歳,女性.腹痛,腰痛を主訴に産婦人科受診したが,原因として婦人科疾患を否定されたため, 2001年1月当院紹介受診となった.来院時,右下腹部に約6×5cmの弾性硬な腫瘤を触知.術前,上部・下部消化管内視鏡検査にて異常認めなかったが, CT・MRIにて下大静脈右側から回盲部にかけて腫瘤を認めたため,腸間膜または後腹膜由来の腹部腫瘤を疑い, 1月23日開腹手術を施行した.腹腔内検索にて,右側結腸腸間膜に手拳大の硬い腫瘤を認めた.この腫瘤は十二指腸に直接浸潤しており,術中内視鏡にて十二指腸下行脚内腔にこの腫瘍の直接浸潤と思われる隆起性病変を確認した.手術は,結腸右半切除術・リンパ節郭清,十二指腸部分切除術を行った.組織学的に腸間膜リンパ節結核と診断された.そのため術後に抗結核剤投与を行った.十二指腸に直接浸潤をきたした腸間膜リンパ節結核を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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