日本臨床外科学会雑誌
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直腸癌術後に発症した重症真菌性脊椎炎の1例
月岡 雄治矢ヶ崎 亮中野 達夫上野 桂一佐久間 寛
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2002 年 63 巻 4 号 p. 1018-1021

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抄録

63歳,男性.平成10年3月10日, Ra領域の2型直腸癌に対して,直腸低位前方切除術,胆襄結石症に対して胆襄摘出術を施行した.術後3日目より1日2回の38度以上の弛張熱を認め,術後3日目に行った血液培養よりカンジダが検出され,β-Dグルカン値300pg/ml以上より深在性真菌症と診断し,術後6日目に中心静脈栄養(IVH)カテーテルを抜去,フルコナゾール400mg/日を6週間投与した.また,抜去したIVHカテーテル先端培養からもカンジダが検出された.背部痛に対して7月上旬に行ったGaシンチ, CT, MRIにて真菌性脊椎炎と診断し,約2カ月間保存的加療を行ったが改善せず画像上脊髄の圧迫所見を認めたため,第8,第9,第10胸椎椎体病巣掻爬および前方固定術を施行した.掻爬部の培養からCandida tropicalisが検出された.
本症例は,術後IVHカテーテル感染から深在性真菌症を引き起こし, 4カ月後に真菌性脊椎炎を発症した稀な1例と考えられた.

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