日本臨床外科学会雑誌
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慢性腎不全に合併した原発性副甲状腺機能亢進症の1例
篠崎 幸司小林 哲郎
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2002 年 63 巻 4 号 p. 843-846

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抄録

症例は73歳の女性.近医にて血清カルシウム値の異常を指摘されて当科へ紹介された.慢性腎不全を合併していたが透析は受けていない.患者は軽度の嗄声を訴え,血液検査ではCaが11.1mg/dl, intact PTHが500pg/mlと高値を示し,頸部CTでは甲状腺右背側に造影剤でよく染まる腫瘤を認めた.副甲状腺機能亢進症と診断し, 3腺の副甲状腺摘除を行い,術後は嗄声は消失しカルシウム値は術翌日より正常化したが,約2年経過した現在では一旦低下したintact PTH値が次第に上昇している.血清カルシウム値,腎不全の程度,腫大した副甲状腺のサイズなどにより,本症例は慢性腎不全に合併した原発性副甲状腺機能亢進症と診断した.

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