日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
腹腔鏡下回盲部切除術を行った虫垂杯細胞カルチノイド(goblet cell carcinoid)の2例
村上 真基宗像 康博林 賢西村 秀紀町田 恵美
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 63 巻 4 号 p. 927-931

詳細
抄録

急性虫垂炎で発症した虫垂杯細胞カルチノイドの2例を経験した.症例1は35歳の男性.右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を行った.病理組織学的に急性虫垂炎と独立して杯細胞カルチノイドの合併を認めた.腫瘍細胞の固有筋層への浸潤を認めたため,初回手術後37日目に腹腔鏡補助下2群郭清回盲部切除術を行った.追加切除標本には腫瘍細胞を認めなかった.症例2は76歳の女性.右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を行った.病理組織学的に急性虫垂炎とともに杯細胞カルチノイドの合併を認めた.切除断端部に腫瘍の遺残を認めたため,初回手術後14日目に腹腔鏡補助下2群郭清回盲部切除術を行った.追加切除標本の病理組織診断で1群リンパ節1個に転移を認めた. 2例とも術後5年経過して再発を認めていない.虫垂切除術後の病理組織学的検索の重要性が再確認された.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top