63 巻 (2002) 5 号 p. 1193-1197
十二指腸乳頭部癌に対しては,一般的に膵頭十二指腸切除術が施行されるが,手術侵襲の大きさからその実施が躊躇されることも多い.今回われわれは,乳頭部局所切除術を施行し長期無再発生存中の2症例を経験したので報告する.症例1は,食道癌術後で胃管再建が行われていた.症例2は血管炎のため,免疫抑制剤を長期内服中であった.両症例とも,膵頭十二指腸切除術を施行するのは危険性が高いと考えられたため,乳頭部局所切除を行った.症例1, 2とも膵浸潤陽性であったため,膵実質の切離を行い術中迅速診にて断端の陰性を確認した.再建は主膵管,総胆管断端と十二指腸粘膜を端々吻合した.両症例とも軽快退院し,術後3年を経過した現在でも,無再発生存中である.乳頭部局所切除は,外科的侵襲の上ですぐれた安全な術式であり,今後各症例の状況によっては考慮すべきであると思われる.