症例は41歳,女性. 2000年1月左下腹部腫瘤を指摘され,当科入院となった.上腹部左側を中心に弾性軟,境界不明瞭な手拳大の腫瘤を触知した.腹部超音波検査およびCT検査では後腹膜腔に膵尾部と境界不明瞭な,隔壁を有する嚢胞性腫瘍を認め,嚢胞壁・隔壁は造影されなかった.開腹所見で腫瘍は小児頭大で,後腹膜腔に存在し,膵体尾部と接していたが連続性はなく,後腹膜原発の嚢胞性腫瘍と診断し,腫瘤摘出術を施行した.切除重量は1,050g,大きさは14×12cm.多房性で隆起性病変は認めなかった.嚢胞内容液は漿液性で,病理組織学的には漿液性嚢胞腺腫と診断された.後腹膜の上皮性腫瘍は極めて稀であるが,悪性腫瘍との鑑別が困難であるので,腫瘍摘出が必要であった.