63 巻 (2002) 8 号 p. 2030-2034
後腹膜脂肪腫の1例を経験した.症例は50歳,女性.腹部膨満感を主訴に当院を受診した. CTでは,後腹膜に脂肪組織と同吸収域,境界明瞭,内部均一, MRIではT2強調画像で高信号の巨大腫瘍が認められた.以上より後腹膜脂肪腫の診断で,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は後腹膜に存在し,腹腔内臓器を左方に圧排していた.栄養動脈は右卵巣動脈の分枝で,原発は右腎周囲組織と考えられた.腫瘍は被膜を有し比較的容易に摘出された.摘出標本は表面平滑,黄色,被膜で覆われ,重量は6.1kgであった.組織学的には成熟した脂肪組織からなり,脂肪腫と診断された.後腹膜に発生する腫瘍は稀な疾患であり,なかでも脂肪腫は少数である.文献的に検索しえた範囲では本邦における報告例は自験例も含め95例であり,重量平均は3.7kgであった.今回, 6.1kgの巨大後腹膜脂肪腫を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.