63 巻 (2002) 9 号 p. 2169-2173
症例は70歳,女性で貧血の精査を目的に来院した.上部消化管内視鏡を施行したところ胃体下部後壁のO IIc様病変と胃底部を中心とした境界不明瞭な隆起性病変を認めた. O IIc様病変部からは印環細胞癌が検出され,隆起性病変部には高度に形質細胞が浸潤した像を認めたため胃全摘術を行った.組織学的検査の結果,胃底部の病変はMALTl ymphomaであると同時にH. Pylori感染を認めた.胃印環細胞癌とMALT lymphomaの併存例は稀であると同時にMALT lymphomaには印環細胞様の変性した上皮細胞(signet ring cells)が出現することがあり,今回の症例にも同細胞の出現を認めた. MALTリンパ腫の診断には印環細胞癌との鑑別を念頭におく必要がある.