2003 年 64 巻 1 号 p. 102-106
若年で発症した進行十二指腸癌症例を経験したので報告する.症例は26歳の男性で,上腹部痛に対して上部消化管内視鏡を施行した.十二指腸球部に潰瘍性病変による狭窄を認め,生検にて低分化腺癌との結果を得た.手術所見はH0P1N1SI (panc.)のため膵頭十二指腸切除(D2郭清)と腹膜播種転移巣の可及的切除を施行した(Curative B).同時にperitoneal Infuse-A-portを腹部皮下に留置した.術後FP療法を8カ月施行したが, 1年4カ月目に癌性腹膜炎による腸閉塞で再発した. MTX/5FU療法に変更するも,全身状態の悪化がみられたため, 5FU 250mg/dayの投与のみとした.その後,小康状態が得られたものの,腸閉塞症状の改善がみられないまま1年9カ月後に死亡した.若年者十二指腸癌の報告は,自験例を含め5例と非常に稀なため報告した.