日本臨床外科学会雑誌
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左側大腸癌イレウスの治療方針 -経肛門的イレウス管を用いた治療の有用性-
中島 信久高木 知敬長渕 英介米山 重人中山 雅人
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2003 年 64 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

イレウスを呈する大腸癌の治療にあたっては,イレウスの解除と癌の根治という2つの問題を解決する必要がある.左側大腸癌では,経口的減圧不良などのため緊急手術に至り,姑息的切除に終わることが多い.最近10年間に手術を施行した32例を対象とし,経肛門的減圧を併施した最近5年間(後期, n=14)とそれ以前の5年間(前期, n=18)とに分けて,待期手術率,根治度,一期的吻合の可否などについて検討した.待期手術率は50%から86%と有意に増加し(p=0.039),根治度(cur) A率は61%から86%となった(p=0.127).切除後の一期的吻合率も33%から91%に有意に増加した(p=0.0045).左側大腸癌イレウスの治療において,経肛門的減圧を併施することにより待期手術率が向上し,癌に対する根治性を高めることができ,さらに一期的吻合率が高くなることにより, QOLの向上にも寄与すると考えられた.

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