日本臨床外科学会雑誌
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拡大肝切除後に著しい高乳酸血症をきたした肝inflammatory pseudotumorの1例
菊地 浩彰緑川 武正石橋 一慶斉藤 充生前沢 浩司根本 洋
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2003 年 64 巻 1 号 p. 159-163

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抄録

症例は54歳,男性.主訴は右季肋部痛,発熱.既往歴に糖尿病.白血球10,500/μl, γGTP116U/lと上昇し,腹部エコー, CTで肝右葉に約10cmの腫瘤を認めた.肝悪性腫瘍も否定できず, PTPE後に拡大肝右葉切除を行った.術直後より敗血症によるショックおよび乳酸アシドーシスをきたしたが,ドパミン投与と輸液管理,適切な抗生剤投与などにより救命しえた.拡大肝切直後の著しい高乳酸血症を救命しえた肝IPTの1例を経験したので報告した.炎症性肝腫瘤の肝切除に際し,糖尿病,術中低血圧,敗血症などの因子が加わることで,術後乳酸アシドーシスを併発する可能性を念頭におく必要があると思われた.

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