2003 年 64 巻 1 号 p. 210-214
症例は71歳,女性.風邪様症状で近医受診し,その際偶然腹部腫瘤を指摘され当科へ紹介された.腹部CT, MRIで後腹膜脂肪肉腫が疑われ手術を行った.腫瘤は黄色調で後腹膜腔に存在,下行結腸~S状結腸を右側に圧排するように発育していたが被膜様の膜に覆われ周囲との境界は比較的明瞭であった.切除した腫瘤は35cm×30cm×20cm,重量6,700gであり病理学的には分化型脂肪肉腫と診断された.術後経過は概ね良好で,現在再発の徴候なく外来通院中である.