日本臨床外科学会雑誌
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特発性食道破裂3例の検討
東海林 安人宮崎 恭介中村 文隆道家 充樫村 暢一加藤 紘之
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2003 年 64 巻 1 号 p. 60-64

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抄録

特発性食道破裂は比較的稀な疾患であるが,その診断・治療の遅延により膿胸や縦隔炎を併発し重篤な転帰をとりうる.今回,われわれは3例の特発性食道破裂を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
患者は43歳から73歳の男性で, 2例は嘔吐後の腹痛を訴え, 1例は誘因なく心窩部痛を訴えて来院した.診断は経過とX線画像での食道周囲の気腫,左胸水貯留の所見から診断され, 1例はさらに内視鏡検査での裂創の所見から確定した.いずれも発症から24時間以内に手術を行った. 2例は破裂径が4 cm以下で,破裂部の直接縫合閉鎖と胃底部縫着術を行い軽快した. 1例は破裂径が8 cmで,直接縫合閉鎖のみを行い術後縫合不全を生じた.この症例では食道を抜去し,胃管・遊離空腸による二期的食道再建を要した.破裂径が大きな症例では縫合閉鎖に加えて大網などを用いた補強術が必要であったと考えられた.

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