日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
CAPD患者の開腹手術時に合成吸収癒着防止材を使用し良好な経過をみた1例
亀山 哲章高橋 麻衣子壁島 康郎戸泉 篤田村 洋一郎影山 隆久
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 64 巻 1 号 p. 79-83

詳細
抄録

持続携帯式腹膜透析(以下CAPD)患者にとって,開腹手術は腹膜の損傷および術後の癒着による腹膜機能の低下によりCAPDが継続できなくなるといった問題点がある.今回われわれはCAPD導入後8年6カ月経過し,貧血を主訴に発見された早期胃癌症例に対して大網温存幽門側胃切除術を施行した際,正中創と臓側腹膜との癒着を防止し腹膜機能を温存する目的で閉腹時に合成吸収性癒着防止材(セプラフィルム)を使用した.術後血液透析を計5回併用したが,術後14日目からは術前と同様の処方にてCAPDを継続することができ, 28日目に軽快退院となった.術後1年8カ月経過しているが現在も同様の処方にてCAPDを継続し社会復帰している.本例ではCAPD患者に対する開腹手術を施行する際にセプラフィルムを使用することで積極的に腹膜の癒着を予防することにより腹膜機能を温存できたと考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top