日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
原発性直腸癌様所見を呈した胃癌術後直腸転移の1例
奈賀 卓司谷口 健次郎柴田 俊輔山口 由美石黒 稔西土井 英昭
著者情報
キーワード: 胃癌, 直腸転移
ジャーナル フリー

2003 年 64 巻 1 号 p. 94-97

詳細
抄録

原発性直腸癌様所見を呈した胃癌術後直腸転移の1例を経験したので報告する.症例は58歳,女性. 1999年5月,胃癌の診断にて胃全摘術を施行した.病理組織学的所見はpor, se, INFγ, ly1, v0, n2 (+), stage IIIB,根治度Bであった.術後外来にてfollow中, 2001年12月,便秘症状がしだいにひどくなったため精査を施行した.注腸造影では直腸Raに比較的境界明瞭な約5cm大の全周性の狭窄を,また腹部CTでは直腸に全周性の壁肥厚を認め,直腸癌の診断にて低位前方切除術を施行した.病理組織学的には,胃癌と同等な低分化型腺癌が粘膜下層を中心に増殖しており,胃癌の直腸転移と診断した.
胃癌の大腸転移は稀な疾患であり切除可能な症例は極めて少ない.中には原発性大腸癌との鑑別が困難な症例も散見される.注腸X線検査の詳細な検討による診断と治療方針の決定が必要とされる.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top