64 巻 (2003) 11 号 p. 2695-2699
本邦では比較的稀な乳癌髄膜播種の1剖検例を経験した.症例は, 34歳,女性.呼吸苦,腰痛を主訴として来院. Gadolinium (Gd)造影MRI,骨シンチおよびその他の検査にて,髄膜を含み,その他,骨,肺,肝などに転移所見を認め,乳癌全身播種性転移の診断であった.直ちに化学療法(weekly one-hour paclitaxel injections)を行ったが,治療開始後まもなくDICを発症,化学療法継続は困難となり,全身状態は次第に悪化,髄膜播種の診断後約7週で死亡した.剖検では,化学療法による抗腫瘍効果は主病巣に対しては認められたが,脳クモ膜表面には腫瘍細胞が一面に播種したままで無効であった.乳癌髄膜播種症例の予後は極めて不良で,集学的治療を行っても6カ月以内にほとんどが死亡,生存中央期間も3~6カ月であり予後の改善が得られていないのが現状である.