2003 年 64 巻 12 号 p. 3062-3068
今回われわれは,比較的稀な石灰化胃癌の2例を経験した.症例1は71歳,女性.体重減少のため精査,内視鏡で胃癌と判明し,造影CTで胃体上中部小彎側に不整な壁肥厚と,壁内点状石灰化を認めた.胃全摘術を施行したが, 4カ月後に癌性腹膜炎で死亡された.切除標本では胃体上中部の5型胃癌で, mucinous carcinomaであった.症例2は80歳,男性. 30年前に胃癌に対し幽門側胃切除術を受けていた.今回イレウスのため緊急手術施行した.術前CTで残胃に吻合部を中心に点状石灰化を認め,術前の内視鏡検査で残胃癌と判明,残胃全摘術を施行したが7カ月後に癌性腹膜炎で死亡された.切除標本では残胃全体の4型胃癌で, signet-ring cell carcinomaであった.石灰化胃癌の予後は極めて不良で,画像上胃壁内に石灰化を認めた場合,石灰化胃癌を念頭において可及的早期の治療が必要である.