2003 年 64 巻 12 号 p. 3121-3124
症例は67歳の女性で,心窩部痛を主訴に受診となった.諸検査にて胆石症と診断し,胆嚢摘出術を施行した.摘出標本の一部において病理組織学的に異所性膵組織を認め,腺房,導管が存在した為, Heinrich II型と診断した.
異所性膵組織は内視鏡検査時や手術時などに腸管内に偶然に見つかる場合が多く,稀な疾患とはいえない.しかし,胆嚢内に異所性膵組織を認める症例は少なく,検索しえる限り本邦では自験例を含め18例を数えるに過ぎない.
今回われわれは胆石症の診断にて胆嚢摘出術を施行し,胆嚢内異所性膵組織を認めた症例を経験したので,この症例に若干の文献的考察を加え報告する.