日本臨床外科学会雑誌
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肝転移に対し3回の肝切除を施行し,長期生存を得たZollinger-Ellison症候群の1例
岡 保夫岩本 末治浦上 淳山下 和城木元 正利角田 司
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2003 年 64 巻 12 号 p. 3152-3157

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抄録

症例は65歳の男性. 20年前胃潰瘍の診断を受け内服治療中であったが,緩解,増悪を繰り返していた.平成3年,近医で施行したUSで膵体部に腫瘤を指摘され当科に入院となった.入院時検査所見では,血清ガストリン値は814.7pg/ml, BAOは25.5mEq/1と上昇していた. CTでは膵体部に造影効果のある腫瘤を認め,血管造影では腫瘤に一致して濃染像を認めた. Zollinger-Ellison症候群(gastrinoma)と診断し,膵体尾部脾合併切除, 1群リンパ節郭清を施行した.病理組織学的にはmalignant islet cell tumorであった.平成6, 8, 12年,いずれも血清ガストリン値の上昇を認め, CT,血管造影で肝S6に腫瘤を認めた. Gastrinomaの肝転移と診断し肝部分切除を施行した.病理組織学的にはmetastatic islet cell tumorであった.平成15年2月現在,再発は認めず経過観察中である.

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