日本臨床外科学会雑誌
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広範な後腹膜リンパ節転移を伴った褐色細胞腫局所再発の1例
真田 雄市小林 直広高倉 範尚
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2003 年 64 巻 12 号 p. 3167-3172

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抄録

褐色細胞腫の再発率は6.1~7.1%と言われているが,悪性転化,リンパ節転移を伴った局所再発の切除報告は少ない.今回われわれは,良性褐色細胞腫に対し左副腎摘出術後8年の経過を経て,広汎なリンパ節転移を伴った悪性褐色細胞腫として再発をきたした1例を経験した.症例は50歳,男性.平成5年8月31日,左副腎原発の良性褐色細胞腫に対し左副腎摘出術施行.平成13年5月30日, CTにて左腎門部に腫瘤を指摘され, 7月5日, 131I-MIBGシンチグラフィーにて同部位に取り込みを認め,再発と診断され, 9月17日入院となった. CT上腫瘤は最大径3.5×2.8cm大のものを中心に後腹膜(大動脈周囲から腎門部にかけて)に多発性に認められリンパ節転移を伴った局所再発と判断し, 10月5日腫瘤摘出術を施行した.切除標本の病理所見も広汎なリンパ節転移,高度の脈管侵襲を伴う悪性褐色細胞腫であった.現在経過観察中であるが,現時点で再発の兆候を認めていない.

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