日本臨床外科学会雑誌
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急性感染性壊死性S状結腸炎の1例
山口 明浩塚本 賢治清水 義博内山 清
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2003 年 64 巻 3 号 p. 683-686

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抄録

S状結腸の感染性壊死の1例を経験したので報告する.症例は63歳の男性,糖尿病,脳梗塞後の患者である.腹痛を主訴に来院し,粘血便と腹部の筋性防御を認めた. CT検査ではS状結腸の著明な肥厚を認め,憩室炎の穿孔を疑い緊急手術を施行した. S状結腸の壊死を認め,直腸にも炎症性変化が著明であった. S状結腸を切除し,直腸断端は閉鎖し下行結腸人工肛門を造設した.病理組織学的検査では憩室はなく,粘膜から筋層に至るまで大型のグラム陽性桿菌を多数認め,感染性大腸壊死と診断した.術後,肺炎,脳梗塞症状の増悪など繰り返したが224日目に軽快退院した.糖尿病患者では慢性便秘と長期臥床傾向にある場合,腸内環境の保全に考慮すべきではないかと考えられた.

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