日本臨床外科学会雑誌
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乳癌手術におけるクリニカルパス導入の成果
有賀 浩子湯口 卓千須和 寿直大森 敏弘田内 克典小池 秀夫
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キーワード: 乳癌, クリニカルパス
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2003 年 64 巻 4 号 p. 778-784

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抄録

当院では医療の標準化・業務の効率化・医療の質の向上・入院日数の短縮を目的として全科的にクリニカルパスを導入し,その有効性について検討したので報告する.対象は乳癌症例で, 2000年4月から2001年3月までの導入前14症例と2001年4月から2002年3月までの導入後25症例とした.医療の標準化を徹底するため,従来の漫然とした医療行為は削除され,早期離床・早期退院を促すことが可能になった.入院オーダーを疾患毎に統一してオーダリングシステムからパス表を作成し,必要な医療行為をもれなく確実に行い,患者に対してはパス表を用いて入院後の治療内容と経過の説明を行いインフォームドコンセントの充実を計った.パス導入後は在院日数は短縮し,総医療費は減少したが1日あたり医療費は増加した.更に病床利用率は一時的に下がったものの回転率は上昇し全身麻酔手術件数も増加し収益にも有効であった.現在の厳しい医療業界においてパス導入は有効と考えられた.

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