64 巻 (2003) 5 号 p. 1226-1229
われわれは,肝細胞癌破裂部の肝部分切除術施行後に腹膜播種をきたし,外科的に切除した症例を経験したので報告する.症例は56歳男性,慢性B型肝炎にて経過観察中,平成6年2月,肝細胞癌破裂(S2)による出血性ショックをきたし緊急手術(肝部分切除術)を施行した.外来にて経過観察していたが,平成8年3月,腹部に腫瘤を触知し,腹部CT,血管造影にて肝S4,大網に腫瘤を認めた.残肝再発,腹膜播種と診断し,手術を施行,摘出した大網腫瘤は転移性肝細胞癌であった.患者は,播種巣切除後12カ月(肝細胞癌破裂後39カ月)で癌死した.肝細胞癌破裂症例では,腹膜播種のリスクが高く,播種巣の外科的切除により生存期間の延長が得られる場合もあるため,破裂後の厳重な経過観察と腹膜播種の早期発見が重要であると考えられた.