64 巻 (2003) 5 号 p. 1255-1259
症例は60歳,女性,心窩部痛と左下肢のだるさを主訴として来院し,腹部超音波検査では左腎内側に,内部に嚢胞を伴った腫瘤を認め,腹部CT検査にて左腸腰筋内に内部不均一,境界明瞭な腫瘍を認めた. MRI検査にてT2強調画像で高信号であり,血中NSE高値より,神経原性腫瘍,特に神経鞘腫を考え,摘出術を施行した.腫瘍は7×5×5 cmで表面黄白色,弾性軟であり,病理学的検査にて左腸腰筋内に発生した良性神経鞘腫と診断された.術後の経過は良好にて,術後1年を経た現在再発徴候は認められず,下肢の知覚異常などの合併症も認められない.腸腰筋内発生の神経鞘腫は稀な疾患であり,文献的に検索しえた範囲内で本症例は本邦11例目であった.