64 巻 (2003) 7 号 p. 1756-1761
回腸重複腸管から発生したと考えられる腹膜偽粘液腫のきわめて稀な1例を経験したので報告する.症例は54歳の男性で,人間ドックにて腹水を指摘され,腹水穿刺にて腹膜偽粘液腫を疑い入院となる.開腹所見では回腸末端より60cm口側の回腸腸間膜に径4.5cmの嚢胞性腫瘤を認め,腹腔内にはゼリー状の粘液が充満していた.術式は腫瘤摘出術(隣接する回腸の部分切除術),粘液除去術,虫垂切除術,大網切除術,温生食・低分子デキストランによる腹腔内洗浄, mitomycin C 60mg腹腔内散布を行った.
術後病理組織所見では,嚢胞壁は平滑筋組織と結合組織からなり,粘液を産生する円柱上皮に被われていた.その上皮細胞は軽度の異型を認め,重複腸管の腫瘍化と考えられmucinous cystadenomaと診断された.以上より回腸に隣接した重複腸管から発生した腹膜偽粘液腫と診断した.現在,術後4年再発の徴候なく健在である.