2003 年 64 巻 9 号 p. 2089-2094
成人の虫垂膿瘍は急性期に一期的に手術を施行されることが多い.しかしその際,腸管切除や術後合併症を経験することがある.われわれはそれらを予防すべく,成人の虫垂膿瘍症例6例に対して保存的に治療した後,約3カ月後に虫垂切除を行うinterval appendectomy (以下IA)を施行した. 3例は経皮的膿瘍ドレナージを, 3例は腹腔鏡下に虫垂切除術を施行した. IAの平均手術時間は68.8分,出血量10.3g,入院日数33.3日,入院保険点数87,386点で,出血量が少ない以外一期的手術との差はなかった.しかし拡大手術移行率,合併症率は一期的手術では25%, 32%であったのに対し, IAでは両者とも0%であった.
以上より虫垂膿瘍に対してはIAが第一選択と思われた.今後は経皮的ドレナージや,腹腔鏡下手術を積極的に施行することによって入院期間を短縮し,さらなる低侵襲手術を目指す必要があるものと思われた.