2003 年 64 巻 9 号 p. 2233-2237
症例は, 68歳,男性.発熱,下痢,血便を主訴に来院.イレウスの診断にて入院.経肛門的腸管減圧チューブを挿入し,緊急手術を回避した.その後の検査で膀胱に浸潤・穿通したS状結腸癌と診断した.充分な大腸前処置を行い,一期的切除・吻合術を施行した.周術期に大きな合併症はなく,安全に管理しえた.
文献を検索した限り,膀胱に浸潤・穿通したS状結腸癌患者に経肛門的腸管減圧チューブを使用した報告例はない.貴重な症例と考えられ,若干の文献的考察を含め報告する.