日本臨床外科学会雑誌
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急性化膿性脊椎炎を初発症状とした孤立性肝膿瘍を伴う胆嚢癌の1例
吉本 裕紀清水 良一佐伯 俊宏原田 俊夫前田 祥成和田守 憲二
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2003 年 64 巻 9 号 p. 2266-2270

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抄録

症例は79歳の女性.発熱,腰背部痛にて近医を受診,自立歩行困難となり当院紹介入院となった.入院時CT検査などで胆石・胆嚢炎,孤立性肝膿瘍および急性化膿性脊椎炎と診断され,保存的治療を施行した.抗生剤投与後約1カ月で症状は改善,自立歩行も可能になり,脊椎の悪性疾患は否定できた.しかしCT, MRI所見から胆嚢癌が否定できず,胆石・胆嚢炎の根治・診断目的で胆嚢摘出術を施行した.組織学的検索にて進行胆嚢癌と診断,二期的に肝床切除術, D2郭清を伴う胆管切除術を施行した.急性化膿性脊椎炎も治癒し退院となった.孤立性肝膿瘍合併胆嚢癌の報告は,本邦で自験例を含め8例であった.しかし本症例のごとく肝膿瘍から化膿性脊椎炎を続発した報告例はなく,非常に稀な症例であった.

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