65 巻 (2004) 1 号 p. 135-138
症例は77歳の女性.右下腹部痛を主訴に受診された.右下腹部に自発痛,圧痛を伴う弾性硬の腫瘤を触知した.炎症反応の上昇を認め,腹部CT検査にて回盲部付近に7×7cm大の多房性の腫瘤影を認め周囲は被膜に覆われ,内部は隔壁様構造を呈し液性成分を有していると思われた.注腸造影検査,大腸内視鏡検査にて,盲腸を平滑に圧排する腫瘍性病変を認めた.抗生剤の点滴投与と絶食により炎症反応は改善し,腹部CT検査再検にて腫瘤は4×4cm大と縮小傾向を認めたが,腫瘤内部構造に変化はなく,虫垂粘液嚢胞腺癌の術前診断のもと右結腸切除術(D2)を施行した.摘出標本病理検査では,回盲部の黄色肉芽腫性炎であった.黄色肉芽腫性炎の消化管および虫垂での発症例は極めて稀である.本症は回盲部に発症した極めて稀な1例であり,若干の文献的考察を加え報告する.