日本臨床外科学会雑誌
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血液透析患者に発症した出血性サイトメガロウイルス感染性腸炎の1例
小林 里絵吉松 和彦石橋 敬一郎渡邊 清西村 暁小川 健治
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3194-3197

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抄録

血液透析患者に発症した出血性サイトメガロウイルス(CMV)感染性腸炎の1例を報告する.症例は68歳,女性.血液透析中の平成14年6月,四肢の紫斑を主訴に他院でステロイドパルス療法を施行したところ呼吸状態悪化し,当院内科に転院した. 7月,大量の下血がみられ,内視鏡検査で回腸終末部に潰瘍性病変を認めた.その後も間歇的な下血を認めたため当科転科し,緊急手術を施行した.術中内視鏡で回腸終末部にpseudo polypと浅い潰瘍を認め,回盲部切除術を施行した.病理組織所見ではすべての潰瘍にCMV核内封入体を認め, CMV抗体価64倍, CMV抗原陽性でCMV感染性腸炎による小腸潰瘍からの出血と診断した.術後経過は良好で抗ウイルス剤投与でCMV抗原は陰性化した. CMV感染症は重篤化する前の早期診断,治療が大切で,自験例のように免疫能低下をきたす可能性がある患者では,本症の危険性を常に念頭におく必要がある.

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